支援を受けた学生からのメッセージ

 皆様方からのご支援をいただき,TUFS多文化共生学生自主企画事業を実施いたしました。
 活動内容・成果を紹介させていただきます。
 ご支援をいただきまして,ありがとうございました。

<2019年度TUFS多文化共生学生自主企画事業の概要>

 本事業は,学生の自主的かつ創造的な多文化共生活動を支援するために,今年度より開始された制度です。
  学生が日頃の授業の中で学んだことを実践し,またそれを社会に還元することにより,社会人となった時に必要な力を身につけていくことなどを目的としています。
  今年度は,第一次審査の書類審査,第二次審査のプレゼン審査により,次の3つの団体が選ばれ,半年をかけて企画を実施していきました。

国際連携企画

チーム・さち「インドでパキスタンの物語を読み聞かせ」

<実施内容>

 今回の企画では”The greedy Kashim”と”シェイフ・チリと不思議な木”という,共に南アジアのムスリムに根付く物語を紙芝居の題材として,明星学苑高校および横浜国際高校にて出張講義を開催した。また「インドへのステレオタイプの打破」を目的として東京外国語大学でもワークショップを開催した。高校生と外大でのワークショップ参加者に紙芝居を作成していただき,合計5作品を完成させた。
 作成した紙芝居は,デリーのジャワハルラール・ネルー大学の日本語専攻も学生と協力し,ヒンディー語訳した上で,インドの小学校および児童養護施設にて紙芝居パフォーマンスを行った。日本の保育園への紙芝居配布に関しては,現在受け入れ機関を探している段階である。


<活動成果>

 日本においては上述の通り明星学苑高校と横浜国際高校での出張講義および外大でのワークショップを開催し,全5作品の紙芝居を作成した。出張講義参加校が2校しかなかったという点については大きく目標を下回った。主な要因としては,どの高校も通年カリキュラムの中で動いており,参加することが難しかったということが挙げられる。一方で参加していただいた2校は国際に力を入れている学校で,自由参加であったものの,多くの生徒が参加してくれた。
 インドにおいては小学校,児童養護施設の合計で3校/施設でパフォーマンスを実施した。日本人が紙芝居という初めて見るパフォーマンスをしていることもあってか,子どもたちは大変興味を持ってくれた。実際に活動する上でチーム一同感じたことは,社会課題に取り組むことの難しさ,そして重要さだ。企画実施期間中インドでは政府による市民権法改正を発端にヒンドゥー・ムスリム間の対立がさらに強まった。企画を進めていく中で,センシティブな問題である宗教問題にアプローチしていくことに恐れを感じたこともあった。しかしセンシティブな問題だからこそ,チームを上げて勉強し,工夫をして取り組んでいくという姿勢を身につけることができた。この姿勢を忘れずに,さらに企画を進めていきたいと考えている。

地域連携企画

アジアフリカ5回生「“食”を通じて世界と繋がる!」

<実施内容>

 2019年11月~2020年1月の間に月1回,計3回のこども食堂を開催した。各回とも異なる国の留学生や協力団体と連携してイベントの運営を行った。

<第1回(2019年11月17日)>
○実施概要
場所:あおば子どもの居場所(府中市)
料理:インド料理4品(チキンカレー,ホウレン草豆カレー,グラブジャムン,ラッシー)
人数:参加者37名(子ども9/大人28),運営側5名
留学生:1名(インド出身)

<第2回(2019年12月11日)>
○実施概要
場所:常照寺てらこや食堂(横浜市)
料理:フィリピン料理1品(アドボ)
アクティビティ:バンブーダンス,英語のクリスマスソング合唱
人数:参加者多数,運営側7名
留学生・教師:2名(フィリピン・インド出身)

<第3回(2020年1月13日)>
○実施概要
場所:府中市市民活動センター料理教室(府中市)
共催:NPO法人シェアマインド
料理:アフリカ料理4品(ブリック,トマトシチュー,ウガリ,パイナップルジンジャージュース),インド料理2品(グラブジャムン,マンゴーラッシー)
アクティビティ:留学生の母国紹介,共催NPO団体によるフードロスに関するプレゼンテーション,ガーナの手遊び
人数:参加者20名(子ども8/大人12),運営側17名
留学生:4名(コンゴ・ガーナ・スイス・インド出身)

<活動宣伝>
・Facebook
・Instagram
・Twitter
 上記3つのSNSを用いて,各イベントの一般参加・協力の募集や実施報告を行い,当団体の活動を広く社会に発信した。第3回目の当団体主催イベントにあたっては,学内掲示板や開催場所の府中市市民活動センターにポスターやチラシを掲載した。

<イベント終了後>
○アンケートの実施
 こども食堂開催後,必ず参加者を対象にしたアンケートを実施した。大人用と子ども用,紙とオンライン等に内容や媒体を分けて作成し,できるだけ多くの回答を得られるように工夫した。実際に,毎回半数以上の参加者にアンケートの協力を頂けた。アンケートの結果,全ての回で「大変満足」「満足」の感想が9割以上を占めた。

○チェキ写真・アルバム・レシピ配布
 子どもたちに食事前に撮影したチェキ写真をプレゼントし,協力団体・留学生には写真や当団体メンバーからの寄せ書きを記したアルバムを贈呈した。思い出に残るものだと,大変好評だった。また,家庭の食卓でも自然に外国の話ができることを期待して,各回で提供した料理のレシピを作成し,参加者全員に配布した。

<特記事項>
・第1,2回は定期的にこども食堂を開催している地域団体と連携し,外大生とのコラボと題してイベントを行った。しかし,第3回は当団体が主催者であったため,打ち合わせや段取り,開催場所,一般参加者募集などゼロからイベントを作り上げた。


<活動成果>

 当団体は,企画実施前に①普段知らない世界を身近に②留学生に日本の現状を知ってもらう③こども食堂と貧困家庭の子どもを繋ぐ④社会課題への関心を仰ぐ,という4つの目標を掲げていた。これらを踏ま
え,実際の活動による具体的な成果は,大きく分けて以下3点だと考える。

  1. 子どもたちの外国に対する意識変化
  2. 留学生の母国と日本文化への理解向上
  3. 外大生と地域住民の交流促進
  1. 子どもたちとの対話やアンケート結果から,留学生との交流や外国の食事を通して,外国の文化がより身近になったことが分かった。イベントで初めて外国人と触れ合ったという子どもや,次回は他の国の料理も食べてみたいという子どもがいた。普段海外との接点がある子どももそうではない子どもも,「外大生×こども食堂」に参加したことで世界への扉がわずかに開かれ,異文化の壁を崩し始めたはずである。
  2. これに関しては,以下イベント参加留学生のコメントから理解できる。
    「このイベントのことを初めて聞いた時とても感激しました。この活動は,誰かひとりではなく,地域コミュニティ全体にとって役立つものだと思ったからです。アフリカについて,参加者の皆さんが関心を持ってくれている様子が伝わりとても嬉しかったです。自分の国コンゴについて皆さんに知ってもらう機会がありよかったです。このイベントを通して,心をひらいて周りの人から学ぶ姿勢を大切にすることが,重要であると分かりました。日本人の皆さんと一緒にイベントをして料理をして,その平和的な雰囲気からわたしも日本の文化を学ぶことができたからです。イベントに招待してくださり,私の大好きな祖国の味「ウガリ」をシェアさせていただきありがとうございました。帰国する前にもう一度子ども食堂に参加できたらうれしく思います。」(コンゴ民主共和国出身留学生のコメント抜粋)
    このように,留学生が当団体こども食堂開催の意義を理解し,自国を見つめ直し日本の文化をより深く学ぶきっかけを与えることができた。
  3. この点は当初想定していなかったが,外大生によるこども食堂開催の反響が非常に大きかった。協力団体のスタッフの方々からは「外大生が橋渡し役として留学生を繋いでくれたおかげでこども食堂がグローバルになった」,一般参加者の方々からは「もっと外大生と話したい」などのお言葉を頂いた。こうした声から,外大生だからこそ貢献できる部分の幅広さ,「外大生」に対する外部の方々の注目や関心が意外と高いことが分かった。外大生が地域住民と関わることで,外国の言語や文化の知識や海外生活における知見を活かせることはもちろん,新たな交流による地域の発展や活動範囲の拡大に繋がる可能性を見出した。
    今回の多文化共生企画において,日本の「国際化」と「子どもの貧困」に目を向けた活動に取り組んだ。「国際化」の問題に対応するにあたって,日本人が外国の人々や文化を正しく理解し,友好的な交流による相互理解が重要であるという認識を持って活動した結果,上記のような成果が得られた。しかし,「子どもの貧困」というもう一つの社会課題に対しては思う通りのアプローチは出来なかった。というのも,「こども食堂」それ自体の意義に二面性があるからだ。一般的にこども食堂は,「こどもの孤食を防ぐ」と「貧困の子どもたちに食事を」という目的が大きく二つある。両方が目的の場合とどちらか一方の目的の場合があるが,それは団体によって異なる。「こどもの孤食を防ぐ」目的の中には,地域のつながりをつくることや,食事を作る親の負担軽減も定義に含まれる。3回実施したこども食堂の中で,1回目を除いて,参加した子どもたちは貧困家庭というよりは比較的裕福な家庭出身であるように見受けられた。つまり,企画の対象者を「貧困家庭の子ども」と設定したところで,基本的に参加する子どもたちは連携する団体の活動理念や内容に依拠するため,その点を考慮して選定しなければ本来のターゲットに届きにくい。さらに,自分たちが主催者となる場合,参加者を意図的に絞ることは現実的ではないと気づいた。したがって,もし今後も「外大生によるこども食堂」の活動を継続させていくとしたら,目的を再定義し,対象である「貧困家庭の子どもたち」にフォーカスした団体と連携する必要性を実感した。

地域連携企画

TUFS防災隊「すべての人が安全に避難できるような防災対策」

<実施内容>

  1. NPO法人地域教育ネットのサポートのもと府中市内の中学校を定期的に訪れ,まず中学生との距離を縮めた。彼らと接していくうちに,講演会よりもゲーム感覚で楽しんで防災対策を伝えることの方が効果的と気づいた。そのため,最終的に脱出ゲーム形式の防災ゲームを作成した。このゲームは,安全に避難できることをゴールとし,その途中で起こり得る様々なトラブル(ドアが開かない・困っている外国人に英語で話しかけられたなど)をどう対処すべきかを本人たちに考えさせるものである。
  2. 府中市内の外国人を国籍別で調査し,需要が多いと思われる韓国とタイの人々に向けたパンフレットを作成することにした。また,これらの国の人々は自国での地震経験に乏しいと推測できるためパンフレットの必要性を特に感じた。既存の防災パンフレットで得た知識をもとに,簡潔でわかりやすい際に役立つパンフレットを作成した。

<活動成果>

  1. 中学生が楽しんで活動に取り組んでいた。また中には防災ゲームで扱った,災害用伝言ダイヤルに対してその存在を知らなかったという生徒もおり,情報を少しでも認知させることができたのではないかと思われる。子供目線から防災についての意見が出ることもあり,私たちにとっても新たな発見につながることが多かった。今回の機会が多くの生徒たちの防災についての関心を持つきっかけを提供できたと実感している。また,地域のNPO団体とともに試行錯誤しながらプロジェクトを起こすことができたことで,私たちも地域を通して防災について身近なものとして考える良い機会となった。私たちの活動が地域に還元できたことを嬉しく思う。
  2. 既存のパンフレットを噛み砕いたパンレットを作成できた。シンプルなため,以前より戸惑うことも少ないと感じる。少しでもわかりやすく理解してもらえるよう工夫を凝らし図式に表した点などを評価された。